なぜ歯科医が姿勢にこだわるのか?

ここ30年ほどで虫歯・歯周病の予防が一気に進みました。
学校やメディアでの口腔衛生に関する教育が増え、歯磨きやフロッシングの重要性が広く認識されるようになりました。

歯科医療が治療から予防へとシフトし、プロフェッショナルクリーニングなどの予防的な措置が普及しました。
さらに、虫歯や歯周病の原因や予防法に関する研究が進み、エビデンスに基づく予防策が確立されました。また、定期的な歯科検診の推奨が広がり、早期発見と早期治療が一般的になりました。

ですが、「歯と姿勢の問題」についてはまだ一般的に認識されていません。

歯と姿勢は密接な関係にあります。

ブラキシズム(Bruxism)とは、歯ぎしりや食いしばり、カチカチと噛み合わせたりするなどの癖で、専門用語では「歯をこすり合わせるグラインディング」「食いしばりの状態であるクレンチング」「上下の歯をカチカチと小刻みに音を立てるタッピング」といった行為の総称です。

食事や会話とは別に、無意識的に上下の歯を接触させてしまう習慣で、主に睡眠中に発生しますが、一部の人は日中にも歯ぎしりをすることがあります。

このブラキシズム(歯ぎしり)により、歯の摩耗、顎関節の痛み、頭痛、顔面筋の緊張などが引き起こされることがあります。

姿勢とブラキシズム(歯ぎしり)の関係

頸部の姿勢

首や頭の不適切な姿勢(例えば、前屈姿勢や側屈姿勢)は、顎関節や咬筋に過剰な負担をかけることがあります。
これにより、ブラキシズムが誘発される可能性があります。
特に、長時間にわたるデスクワークやスマートフォンの使用が原因で、頭が前方に傾く姿勢(テキストネック)がブラキシズムのリスクを高めることが示唆されています。

姿勢と咬合

悪い姿勢は顎の位置や咬合(噛み合わせ)に影響を及ぼすことがあります。
例えば、猫背や左右の姿勢のアンバランスは、上の歯がある頭の位置と下の歯がある下顎の位置に影響し、結果として歯ぎしりや噛み締めを引き起こすことがあります。

身体全体のバランス

身体全体のバランスが崩れると、特定の筋肉に過剰な負担がかかり、これが顎や顔面筋にも影響を及ぼすことがあります。
姿勢の悪さは、顎関節や顔面筋の緊張を引き起こし、それがブラキシズムを悪化させる要因となり得ます。

ストレスと姿勢

精神的なストレスはブラキシズムの主要な原因の一つですが、ストレスはまた、姿勢の悪化(例えば、肩をすくめる、背中を丸める)を引き起こすことがあります。
これがさらにブラキシズムを誘発するという相互作用があります。

姿勢とブラキシズムの関係は複雑であり、個々のケースにより異なるため、専門的なアドバイスや治療を受けることが推奨されます。
歯科医や姿勢専門の医師、理学療法士などと連携して、包括的な対策を講じることが重要です。

当院では、歯と全身の姿勢が密接な関係にあることを深く理解し、最新の機器を導入して患者様の総合的な健康をサポートしています。
特に当院が導入している最新の「姿勢測定器」は、歯科治療の新たなフロンティアを切り開いています。

理学療法士・作業療法士などの専門家との連携により、これまで歯科だけでは対処困難と思われていた症状も解決に至っています。
不定愁訴でお困りの方や、他の歯医者での治療で結果が出なかった場合は、ぜひ当院での治療をご検討ください。

皆様の健康な笑顔を取り戻すお手伝いをさせていただきます。