今、子どもや高齢者が危ない
子どもに悪影響を与える「TMD(噛みしめ症候群)」
「TMD(噛みしめ症候群)」は、年齢や性別に関係なく、誰にでも起こります。
しかも、悩む人が年々増えています。
中でも、近年、問題になっているのが、子どもたちへの影響であり、そこには、頭蓋、頸部の発育が大きく関わっています。
昔の子ども達の歯の並びは、U字形でしたが、最近はV字形が多くなっています。
何百万年の進化の道のりの中で30数年の形態的な変化は異常と言わざるを得ません。
頭位が左右どちらかに傾き、そのため肩が内側に向き、姿勢が猫背の子どもも増えています。
咀嚼力も弱くなり、触診すると痛みを感じる程です。
さらに、足も外反母趾で、骨盤の位置が左右で差がある子どもも増えています。
お腹が痛くて救急車で運ばれ、診断すると便秘だった子どももいます。
食べるときはくちゃくちゃと音を立てながら食べお行儀が悪いと親に常に注意され、果ては歩く姿がゴリラみたいな子どももいます。
5,200人の保育園に通う子どもの体の動きを観察したデータによると、5歳児の6割はすでに肩こり、首コリの症状が、2歳児の5割が便秘の症状があるという結果があります。
生物学的に見れば、幼少期の子ども達が、既にその体の劣化が始まり、子どもたちのロコモティブシンドローム(運動器症候群)ともいうべき状況が進んでいます。
最近の乳幼児は、昔に比べると、顎の形そのものが小さく、しかも発育が不完全となっている傾向が強くなっています。
そのため、歯並びが悪く、舌が動くスペースが確保されなくなり、結果、様々な弊害が生じており、「TMD(噛みしめ症候群)」もその一つであると考えられています。
最近、幼稚園、小学校の教育現場では、以前とは明らかに異なる行動をする子どもたちが増えています。
●筆圧が弱く、芯が硬いHBの鉛筆では、しっかりした文字が書けない
●靴ひもを上手に結ぶことができない
●つねに落ち着きがなく、じっとしていることができない
●集中力に乏しく、同じ遊びを続けることができない
●鼻呼吸がうまくできず口呼吸になってしまうため、風邪を引きがちになったり、アレルギーを起こしがちになる
などで、いずれも一昔前にはほとんど見られなかった傾向です。
こうした子どもたちの行動も、その原因は「TMD(噛みしめ症候群)」にあることが明らかになっており、過度の噛みしめを矯正することで症状が改善されたケースも少なくありません。